ある会社の本部へミーティング。女性の憧れの会社。
しっかり化粧をして、いい服を着て向かった。
働く女性は美しい。コレクションシーズンだからか、社員も少なく、バタバタした様子。鳴り響くハイヒールの音達。
いつもミーティングしてくださる50代前半の軽く日焼けして引き締まった体の青山さん。
「GUCCIのGUILTYつけてるのね、香水。私も買ったけどまだ使ってないわ。なぜそれなの?」
「名前がいいじゃないですか。煙草の匂いにも、珈琲の香りにも合うんです。」
「なるほどね〜。なんで今日口紅していないの?」
「忘れてしまいました。」
「貴女はCHANELの71番が似合うから、秋色だし、買って帰りなさい。」
CHANELの口紅は一つしか持ってなかった。真っ赤な色。気分のいい日だけ、塗る。
言われたとおり、帰りに71番の口紅を買って帰った。もう生産されていないお色みたい。
表参道のCHANELはこれで最後のひとつだった。
深い赤の中に紫や茶の色味を感じる、少し大人な色。
シャネル ルージュ アリュール #71 『ファタル』
“ファム・ファタル” 運命の女